冷凍餃子と日本酒は合う。たれを決めてから、酒の温度を決める
冷凍食品の国内生産量で、餃子は3番目に多い品目です。日本冷凍食品協会の2025年の統計では、1位がうどん、2位がコロッケ、3位がギョウザで、上位5品目の顔ぶれは前の年と同じでした。コロッケに次ぐ、というのが少し意外で、店でも家でも、それだけ餃子が焼かれているということです。
その夜の相棒は、たいていビールです。僕も、フライパンに12個並べた日に日本酒の瓶へ手が伸びることは、長いことありませんでした。でも、餃子の原材料を見直してみると、日本酒の相性の考え方にそのまま当てはまる中身でした。今日は冷凍餃子に日本酒を合わせる話を、たれの決め方から書きます。
冷凍餃子の餡は、キャベツに鶏と豚。中央会の分け方では「コクのあるタイプ」の出番
たとえば味の素冷凍食品の「ギョーザ」は12個入りで276g。商品ページの原材料を見ると、先頭は野菜で、キャベツ、たまねぎ、にら、にんにくの順。次が食肉で鶏肉と豚肉、それに豚脂が入っています。焼き方は油も水も使わずに中火で約5分で、羽根が付く作りです。
ここで、鍋の記事でも使った日本酒造組合中央会の分け方を持ってきます。中央会のサイトは日本酒を4つのタイプに分け、それぞれに合う料理を挙げています。「コクのあるタイプ」の相性の良い料理は、鶏肉、豚肉、牛乳などの旨味を生かした料理。餃子の餡は野菜に鶏肉と豚肉と豚脂ですから、肉の旨味の部分がそのまま当てはまります。にんにくの強さも、軽い酒よりコクのある酒の方が受け止めやすいと僕は思っています。
言い換えると、冷凍餃子に合う日本酒の第一候補は、香りが華やかな大吟醸より、米の旨味がしっかりした純米酒です。
肉の旨味に、酒の旨味を重ねる
なぜ合うのか、もう一段だけ下ります。宝酒造の業務用調味料のサイトに、料理に使う清酒の成分の解説があります。清酒に含まれるアミノ酸は、原料の米のたんぱく質が酵素で分解されてできたものが主体で、コハク酸は貝類の旨味成分にも挙げられる、うま味を呈する有機酸だと書かれています。
つまり日本酒は、それ自体が旨味を持った飲み物です。餃子の肉汁の旨味に、酒の旨味を重ねる。ビールの炭酸と苦味で脂を切る飲み方とは、方向が違います。切るか、重ねるか。冷凍餃子の夜は、たまには重ねる方を試してほしいと思っています。
たれを決めてから、酒の温度を決める
ここからが本題です。餃子は、たれで味が大きく変わります。だから酒を選ぶ前に、たれを決めます。
酢醤油にラー油をたっぷり、という王道のたれなら、酒はコクのある純米酒を、ぬる燗にします。中央会の温度の解説では、コクのあるタイプは10℃から45℃まで飲用の適温帯がもっとも広く、温度で表情が変わるタイプです。辛味と油のあるたれには、温めて旨味を膨らませた酒がちょうどいい。燗酒の記事で書いた湯煎のぬる燗で十分です。段取りも簡単で、餃子を焼き始めたら隣で湯を沸かしておき、焼き上がる少し前に火を止めて徳利を浸ける。1分ほどで、皿に移すころにはぬる燗ができています。
酢とこしょうだけ、というさっぱりしたたれなら、酒も軽くします。中央会の分け方の「軽快でなめらかタイプ」は、あっさりして後味が軽い料理が好相性で、適温は6℃から10℃と冷やして飲む酒です。沢の鶴の公式Instagramでも、軽快でなめらかなタイプの自社の酒を「餃子皮のバリバリ感の引き立て役に」と紹介していて、餃子といえばビールのイメージですが、と添えてありました。酢こしょうの餃子には、冷えた軽い酒が皮の香ばしさを邪魔しません。
何も付けずに食べる、あるいは塩だけ、という人もいると思います。その場合はキャベツやたまねぎの甘みが前に出るので、酒も冷やして締めずに、常温で米の甘みが出るくらいがちょうどいい。ここは僕の好みです。
広島市は52市中35位。餃子の街でなくても、家で焼く夜はある
総務省の家計調査で、2023年から2025年の平均で「ぎょうざ」への年間支出が多い市を見ると、1位が浜松市の4,051円、2位が宮崎市の3,478円、3位が宇都宮市の3,192円でした。全国平均は1,984円。広島市は1,731円で、52市のうち35位です。この数字は持ち帰りや総菜で買う餃子への支出(二人以上の世帯の1世帯あたり、年間)で、外食と冷凍餃子は含みません。それでも、広島が餃子の街ではないことは分かります。
餃子の街ではない広島の家でも、冷凍餃子を焼く夜はあります。その夜に、ビールの代わりに日本酒を1合だけ用意する。辛口の記事で書いたとおり、ラベルの日本酒度は飲んだあとの答え合わせに使えるので、餃子に合った1本の数字を覚えておくと、次に酒屋で選ぶときの基準になります。酒屋で迷ったら、ラベルの「純米」の字を目印にして、香りの説明が控えめな1本を選べば外しにくいと思います。
冷凍餃子の夜は、まずたれを決める。ラー油が入るなら純米酒をぬる燗に、酢こしょうなら軽い酒を冷やして。量は1合で十分です。間に水をはさみながら、ゆっくり。ビールを否定する気はありませんが、次に冷凍餃子を焼く夜は、最初の1杯を日本酒にしてみてください。いつものビールの夜と比べて、餡の旨味がどう感じられるか確かめてみてください。
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