酒まつりの朝、サタケ本社の見学ツアーを2時間歩いた記録

酒まつりの週末に西条へ行くなら、酒ひろばの前の半日を精米機の会社に使う価値がある。僕はそう考えています。ラベルの「精米歩合」は、米を削る機械があって初めて意味を持つ数字で、その精米機を作っている会社の本社が、酒まつりの会場から歩ける場所にあるからです。
10月10日の朝、東広島市西条西本町にあるサタケ広島本社の見学ツアーに参加しました。真吟の記事と西条の精米機の記事は、このツアーで見たものの一部を切り出して書いたものです。ツアーの主役は、ふだん食べる米が白米になり、石やガラスが抜かれていく現場で、酒米を削る技術の展示はその横にあります。今回はツアー全体を順番どおりに書き、来年行きたい人への案内を添えます。
完全予約制で各回75名。首から下げたゲスト証はA003
サタケの特設ページによると、酒まつりのサタケ見学ツアーは10日と11日の各日2回、10時からと13時30分からで、各コース約2時間、定員は各回75名です。事前申込のみの完全予約制で、申込が多ければ抽選。今年の受付は9月25日の17時で締め切られていました。僕が入ったのは10日の10時の回です。

首から下げるゲスト証の番号はA003。参加者は班に分かれ、青いジャンパーのスタッフが案内役です。最初に注意事項の説明があり、記念の集合写真を撮ること、写りたくない人は申し出ればよいこと、酒まつり実行委員会の撮影が入っていることが伝えられました。見学の順番は班によって違うと特設ページにあります。僕の班はウェルカムホール、精米プラント、ショールーム(日本酒と精米のコーナー)、そのあとに集合写真を撮ってから、光選別機の実演という順でした。
ウェルカムホールで、山田錦の稲は案内役の身長くらいあった
最初のホールの案内役は、この春入社したばかりの営業の社員でした。
壁一面が「サタケと世界の大穀物」という展示で、日本の米、海外の米、小麦、とうもろこし、豆類が並びます。すべてサタケの機械を通って加工されたものだそうです。日本の米の棚は、上から3段目より下が食べる米で、作付面積の多い順に30品種。上の2段がもち米と酒米で、酒まつりの日なので話は酒米に寄っていきました。
ここで聞いた話で持ち帰りたいのは、稲の背丈です。展示にはヒノヒカリと山田錦の稲が並んでいて、食べる米の稲は案内役の腰くらい、山田錦の稲は身長くらい。背が高い稲は風で倒れやすく、農家にとっては育てにくい。だから酒米は値段が高い傾向がある、という説明でした。山田錦の記事で、茎が長く倒れやすいと書きました。その長さが、食べる米の稲と横に並ぶと一目で分かります。
案内役の説明では、サタケは世界150か国に機械を供給しているそうです。穀物の棚に各国の国旗が貼ってあったのは、そのためでした。
暗い部屋で光る精米工場。MILSTAは本物の機械で動く
次は隣の暗い部屋です。光の点滅があるので気分が悪くなったら申し出てください、と前置きがあって、2階の通路から見下ろす形で、精米プラント「MILSTA(ミルスタ)」の演出が始まります。

サタケのニュースリリースによると、MILSTAは2021年4月に発表された新型の精米プラントで、同年5月から広島本社のモデルプラントとして公開されています。名前はMILL(精米機)にSTUDIO、STANDARD、STARを組み合わせたものだそうです。
映像と音で、ユニットごとに説明が進みました。米袋の自動開封、玄米に過熱スチームを当てる害虫駆除、白さを自動で制御する精米、光選別、計量包装。リリースには張込ユニットが毎時15トンの処理、精米ユニットが4トン毎時の精米機2基とあります。

演出が終わると1階に降りて、機械の前で説明の続きです。案内役が強調していたのは、ここにあるのは展示用の模型ではなく、実際の精米工場に入っているものと同じ機械だということ。精米機は3段階に分けて少しずつ削るので米が割れにくい。隣に光選別機が3台。質疑で参加者からこのプラント一式の値段を聞かれて、およそ10億から15億円という答えでした。
このあとショールームへ移り、西条の精米機の歴史と真吟の話を聞きます。ここは前の2本の記事に書いたので省きます。
光選別機の実演は、三択クイズが2問付いてくる
最後は選別加工総合センターで、光選別機「SLASH(スラッシュ)」の実演です。途中、写真NGの区画があったので、この記事の写真はその手前までのものです。
机の上に、選別で取り除かれたものの見本が並んでいました。田んぼでうまく育たなかった焼け米や白い未熟な粒、カメムシが口を刺して栄養を吸った跡が黒くなった着色粒、それから石とガラスと樹脂。説明の社員いわく、カメムシ米や焼け米は食べても害はないが、真っ白な米の中にあると食欲を失う。ガラスは食べられないので絶対に弾く対象です。
ここで1問目のクイズ。この機械は1時間にどれだけ選別できるか。100キロ、約3トン、約100トンの三択で、答えは約3トン。サタケの製品ページによると、処理能力は型式とシュートの仕様で幅があり、原料に不良品がどれだけ混じっているかで変わるそうです。
仕組みはこうです。製品ページの説明では、流れてくる米をフルカラーカメラ2台と近赤外線カメラ2台が見ていて、フルカラーは着色粒を、近赤外線はガラスや石のような無機物を検出する。見つけた不良品は、ピエゾバルブというエジェクタからの空気噴射で弾き飛ばします。実演の説明では、ここに「ダブルチェック」が入っていました。つるつるの滑り台で一度選別し、不良と判定されたものだけ凸凹の滑り台でもう一度見る。二度目で「やっぱり良品かも」と判定されたものは最初の滑り台に戻される。これを繰り返して、良品と不良品を分けていきます。
良品の白米に、見本の不良品を混ぜて機械にかける。眩しいのでご注意を、と言われてから選別が始まり、終わってから机に戻ると、案内の社員が箱を見せながら「ちゃんと選別できています」。
2問目のクイズは値段です。100万円、700万円、1億円の三択で、答えは700万円。「高級車1台、コンビニのおにぎり約2万個分」と補足がありました。説明の最後には米以外の話も出て、アーモンドのように転がる形のものは、ベルトコンベア式の別の機械でX線を使って中身まで見るそうです。質疑では、同じ機械で大豆やコーヒー豆も設定を変えれば選別できること、どこまで弾くかはお客さんの側で決めることが答えられていました。
個人で申し込める一般向けのツアーは、僕が調べた範囲では、酒まつりに合わせたこの回だけでした。食べる米が白米になり、石とガラスが抜かれる現場と、酒米を削る技術の展示を、同じ本社の敷地で続けて見られる2時間です。
来年も今年と同じなら、申込は9月です。今年は9月25日締切で、一口4名まで、申込が多ければ抽選でした。酒ひろばの前売りも早めに押さえておけば、午前にツアー、午後の回で酒ひろばという一日が組めます。ラベルの精米歩合を機械の側から見てから、酒を飲む。来年はこの順番で、西条の一日を組んでみてください。
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